室内環境改善コンサルタントの山口由紀子です。
今日のテーマは【本当の意味でのバリアフリーとは?】なんなのか?を考えてみたいと思います。
【バリアフリー】と聞いて何を連想されますか?とお聞きすると
⚫︎段差がない!こと
ほぼ、この答えが返って来ます。
残念ながら、【バリアフリー】とは【段差がない!】ことだけを指すのではありません。
わたしはご承知のように【車イス生活者】です。
自走はできませんので、【電動車イスWHILL】を使っています。
この【WHILL】は小型で小回りが利きますから、出入り口の幅がわずか【70センチ】でも【楽に出入りできます】し、廊下の幅が70センチあれば【回転します(楽に向きを変えらる)】し、四輪駆動になっていますから、【7センチ】の段差もラクラクと乗り越えてくれます。
この【WHILL】がわたしの相棒になってから、わたしはたびたび【1人】で飛行機で【東京】に行き新幹線で【鹿児島】に行けるようになりました。
世の中は、昔に比べたら【ハンディキャップのある人】に優しくなっていますし、【生きやすく】なっています。
1番の違いは【人の眼差しが暖かい】ことです。
【心のバリアフリー】は進んでいるのはとても嬉しいですし、ありがたいと思います。
東京に行くときは、当然【泊まり】ますので、【バリアフリー対応のホテル】を探してもらいますが、実はこれがなかなか【大変】なことなのです。
まず、選択肢が圧倒的に少ないのです。
来年【パラリンピック】もあるのに大丈夫だろうかと心配です。
わたしは2017年11月から【WHILL】と共に【東京】へ仕事で行くようになりましたが、【三軒】のホテルに泊まりました。
どのホテルも【バリアフリー対応】を謳っています。
新宿の【Kホテル】は世界ユニーバーシアード大会の拠点となったホテルなので、良く考えた造りになっていました。
2回目の上京のときもそこへ泊まりたかったのですが、来年の【オリンピック】に向けて【バリアフリー対応ルーム】は大幅な改装工事に入られた為に、泊まれずに歌舞伎町にある【バリアフリー対応】を謳ったPホテルに泊まりました。
このPホテルは一流ホテルですが、残念なことに【バリアフリー対応】とは名前ばかりでしたので、3度目の上京のときは【銀座】の【バリアフリー対応】を謳ったMホテルに泊まりました。
【Kホテル】には及びませんが、歌舞伎町のホテルよりは良かったので、4度目の上京のときも【銀座】のMホテルに泊まりました。
【泊まり歩いてみてわかったこと】
どのホテルも【部屋の扉が重た過ぎる!】のです。
わたしは【左手】しか動きません
【WHILL】の操作を【左手でし、左手で重た過ぎる扉を開ける】のは【至難の業】です。
ホテルのスタッフさんをお呼びすれば良いのでしょうが、忙しそうにしてらっしゃるので、たびたびお呼びするのは気の毒です。
9才からハンディキャップやってますし、1人で出入りするのにはどうすれば良いのか?を工夫し、攻略することは大好きです
出来たとき【やったー!】という達成感はハンパない楽しさです(笑)
まぁ、そんなこんなで【WHILL】を配置する角度を考え計算し、左手だけで【WHILLの操作と扉を開ける】工夫するので出入りはできるようになりますが、それだけでかなりの体力を使いますから、せっかく一流シェフがつくる朝食が付いているのにもかかわらず、部屋の出入りが大変なのでいけませんでした(朝食抜きということです)・・・
出入りをするたびに【扉が軽かったらなぁ〜〜】と思いました。
そもそも、一般的に【ハンディキャップ】のある人は【介護者同伴】との思い込みがあるのではないでしょうか?
だから【扉が重くても介護者が開ける】と思ってらっしゃるのかもしれません。
その考えは【バリアフリー対応】ではありません。
最近は、【ハンディキャップのある人】も1人歩き、1人旅行されるようになっていますから【介護者同伴じゃなくても対応できる】ようにして頂きたいと思うのです。
それから【トイレ】や【浴室】のドアは軽いのですが【開口部の幅が狭い】のです。
【WHILL】は【70センチ】あれば通りますが、普通の電動車イスでは通れません。
80センチは欲しいところです。
Mホテルの場合は【浴槽】に備えつけてある【ハンディキャップ用】の入浴イスも【浴槽より10センチ低い】ので実際には使えません。
この差は、【入浴するとき】に仮に介護者がいてもかなり難しいことです。
子供ならいざ知らず【大人】を入浴介助するのはとても大変です。
ハンディキャップ(高齢者含む)の入浴介助をする為にあるのが入浴介助用のイスなのに、浴槽と入浴介助用のイスとの高さの差が10センチもあるのなら介助イスの意味がないのです
最初に【銀座のMホテル】に泊まったときに【お客様の声】を書くものがありましたので、【利用者】として、又【福祉住環境コーディネーター】としての【改善点】を書いて来ました。
特に【浴室に関しては入浴イスを浴槽と同じ高さに改善するだけ】で命の安全性を確保できることを書いて来ました。
【福祉住環境コーディネーター】の【名刺】も添えて。
2度目の宿泊のとき、かすかに【期待】をしましたが、見事に裏切られました。
イスの改善はおろか【入浴イス】そのものが置いてありませんでした(汗)
フロントに言えば持って来てくださるのでしょうが、2ヶ月前に泊まっています。
名簿はあるでしょうし、【数少ないバリアフリールーム】に泊まるのですから、同じ人間が泊まることはわかっていたと思うのです。
わたしは【考え込んでしまいました】
東京オリンピック大丈夫?
【おもてなし】できるの?って。
バリアフリー対応のホテルなどの設計をされる方は【介護施設】を経営する方や介護施設を設計する方との連携を取られたら良いのに…と思います。
わたしが、去年の西日本豪雨のときに避難させて頂いた【介護施設・いちょうの杜】様は【介助者がいなくても暮らしやすいように!】ということを良く考えて居室を作られています。
出入り口の扉は【スライド式】で【開口部】は【120センチ】ありますから、楽に出入りが出来ます。
もちろん【片手】でも【カンタン】に開閉ができます
当然【鍵】もかかりますから、プライバシーも守られます。
↑↑
【トイレ】の扉は【3枚扉】になっていますから、広々と開くので車イスでも不便なく入れますし、介助者がいても余裕の広さです。
↑↑
扉を開けたところです。
開口部が広々としていますよね
【洗面台】も【車イス対応】ですし、【洗面ボウル】が広々としていますから使いやすいです。
ホテルも【バリアフリー対応】を謳うのならば、【介護施設の持つ智慧を借りる】とか、福祉住環境コーディネーターなどの専門家の意見も取り入れられたならいいのになぁと思うのです。
また、【ハンディキャップのある利用者】の【声】を聞いて設計して欲しいと思うのです。
【バリアフリー】というのは【段差がない部屋】というのは【思い込み】です。
ホテルであれ、介護施設であれ、自宅であれ、その部屋を使うハンディキャップ(高齢者ふくむ)のある人が【自力で出入り出来】【自力でその空間を使えるようにすること】が【バリアフリー】です
超少子高齢化社会は若い人が少なく【介助】を頼めない社会でもあるのです。
【ソフト面(心)】でも【ハード面(施設、場所)】でも【ハンディキャップのある人(高齢者)】が自立できるようにしなければ、どうやって生きて行くのでしょう
【ハンディキャップのある人は弱者であり、守られるべき存在】という考えは【良い意味】で変えていかないといけない!とわたしは思います。
わたしの【心友】であり、【超少子高齢化社会】の行く末を良く良く考えて【介護施設の経営】をされている【いちょうの杜グループ】の堀江社長ご夫妻にはいつも頭が下がります
実は、一昨日【大雨警報】が出ましたので、また【避難所】として利用させて頂きましたが、つかず離れず【利用者様】達を見守ってらっしゃるお姿を目の当たりに拝見しました。
スタッフさん達もわたしに【大変でしたね〜安心してゆっくりして下さい!】と暖かい声をかけて下さいます。
不安にさいなまれているときの【暖かい言葉かけ】はなにより嬉しいものです
どんなご馳走よりありがたいです。
真の意味で【誰の心にもバリアがない】【ハード面にバリアがない】世の中になりますように。
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